Sany0328 7月4日午前8時16分。大会2日目は熟練作業審査。藤野の体調はあまり良くありません。発熱した状態で競技に臨みます。熟練の審査員は日本からの澤田審査員、副審はドイツのアルフォンス・フィーゼラー氏。どちらも気心知れた間柄であり、審査の場から指導手の緊張をほぐすために笑顔で声を掛けてくれます。

スタート地点に向かう藤野の足取りはなんとなく頼りないのですが、逆にアルは尻尾をフリフリ♪上機嫌です。
第一科目の「橋渡り」、第二科目の「シーソー」とクリヤーして行きます。第三科目はアルの苦手な「梯子」。心配どうり入り口で落ちる!しかしアルは即座に再チャレンジし通過し始めました。一歩一歩いつもどおりゆっくりと進みあともう一歩というところでまたしても足を踏み外します。やっと体勢を取り直した体を辛くも藤野に抱き下ろされなんとかクリヤーしました。第四科目は「ロングジャンプ」。藤野の「飛べ!」コマンドに対しアルは「飛びたくないモン!」といわんばかりに藤野の横にピタッと座ったままです。(うひょ~!?飛ばない!!拒絶!)大きな失点です。その後の「トンネル」、「瓦礫歩行」はOK。第七科目の「三方の方向変換」。確かに指示通りではありますが、「ランランララランランラン♪」と鼻歌まじりの(ちょっとふざけたような)走り方・・・(^^;)最後の「移送」OK。
審査終了です。

大きな2つのミスはありましたが、辛うじて!?35点以上が取れるのではないかと点数を分析していました。
澤田審査員の流暢なドイツ語での講評が会場内に流れてきます。「・・33point」(えっ不合格?)呆然と藤野が立ちすくんでいます。初めての世界大会、やはり全科目の合格は大きな壁なのでしょうか。 「気持ちを切り替えて、明日の捜索審査を頑張るんだよ」とありきたりのことしか言えません。グランドを出て落ち込む藤野と全く気にしていないアル!
その時なぜか副審のフィーゼラー氏のアナウンスが流れてきました。副審がアナウンスすることは普通ありえません。(フィーゼラー氏がなにを言っているのだろう?) と、突然となりにいたオーストリアチームのペーター氏が歓声を上げて藤野の肩を叩きます。「合格だよ!合格!35点!」
アナウンスは藤野とアルの審査に関して主審と副審の採点の大きな差があり、協議の結果あいだを取って35点に修正したとの内容だったのです。世界大会ではあまり例の無いことです。

藤野とアルはまたひとつ大きなドラマを作りました。

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